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板橋な人
江戸筆師 佐久間末男さん
いい筆を作る場合は、材料をとことん吟味して、駄目だなと思うものは躊躇せず棄てること。
材料から吟味して仕上げまで全工程を一人で行う江戸筆作り。
板橋区伝統工芸師会の江戸筆師、「鳳竹堂」の佐久間末男さんに筆作りの魅力についてお聞きしました。
佐久間末男さん
佐久間末男さん


職人さんに認めてもらえる嬉しさ。そんなところに魅力を感じたんです。

○ まず最初に、筆づくりを始められたきっかけからお聞かせ下さい。
もともと、中華料理のコックをやっていたんです。
陳健民系列のお店で修行をして、大和町に店を出したのですが、お金がなかったので、ラーメン屋をやったんです。
色々と事情があってラーメン屋をやめて、実の兄が朝霞で筆屋をやっていたので、そこで働くようになりました。
それから、練馬の宮沢源之助商店で3年ほど修行して独立しました。36歳のときです。

宮沢源之助商店は、工業用筆(看板・暖簾・ノボリに書くための筆)を専門に作っていたんですが、工業用筆は職人さんが使うので、筆の良し悪しがすぐに分かってしまうんです。
昔は、北海道から九州まで色々な職人さんが東京に筆を求めて集まってくるんです。
地方には、使い易い筆が少なかったんですね。
その職人さんたちに認めてもらいたくて、筆作りに打ち込みました。
職人さんに認めてもらえる嬉しさ。そんなところに魅力を感じたんです。
今年で66歳になりますから、もう40年間筆を作っています。

今は印刷技術が発達して、手書きで看板を書くことが殆んどなくなってきましたが、
ありがたいことに、うちの筆じゃないと駄目だといってくださるお客様が、今でも日本全国にいらっしゃいます。

○ 江戸筆とはどのような筆のことを言うのでしょう?
さばき筆といって、筆の根元まで墨をつけて使う筆を江戸筆と呼んでいます。
材料の仕込から仕上げまで、全ての工程を一人で行うところに特徴があります。
筆作りの工程は、30工程ぐらいに分けられるのですが、
竹軸と、出来上がった筆に刻銘する作業は外にお願いしています。
特別な筆の竹軸は、自分で作っています。

いい物が出来上がったときの、感覚は何ともいえないですよね。


○ 筆を作るにあたって大切にしている事は、どのようなことでしょうか。

大吟醸といった日本酒を作るときに、米を7分研ぎ、8分研ぎいいますが、筆を作る場合もそうです。
いい筆を作る場合は、材料をとことん吟味して、駄目だなと思うものは躊躇せず棄てること。
これは、筆作りに限ったことではないですよね。
これでもいいんじゃないかな?と思ったら駄目です。

いい物が出来上がったときの、感覚は何ともいえないですよね。
材料が自然のものですから、材料が自分のイメージとピッタリ合ったときの喜びは格別なものがあります。
材料のイタチの尻尾は殆んど中国からの輸入ですが、最近はいい物がなかなか入ってきませんので、苦労しています。

○店頭には沢山の筆がありますが、全部手作りなんですか?
学校の教材等で使う筆は、仲間に頼んで作って貰うんですが、それ以外は、店の商品の90%以上はうちで作ったものです。
紫色の軸の筆が多いとおもいますが、店のカラーが紫色なんです。
本当は、出来合いの筆を仕入れて売ればいいのだけども、僕の性分として出来ないもので・・・。

日本全国からお客様が見えられますよ。うちの筆じゃないと駄目だというお客様が結構いらっしゃいます。


○今の活動状況をお聞かせ下さい。

書道の先生方の注文での制作はもちろんですが、
デパート等に呼ばれての販売が多いのですが、私のような者の作品でも楽しみに待っていてくれる方がいらっしゃるんです。
先週も秋田に行ってきたのですが、雪の中を1〜2時間もかけて来てくださる方もいらっしゃいました。本当に嬉しいことですよね。
色々なところに呼ばれるのは、喜ばしいことなんですが、
そういうことばかりしていると、筆作りのほうに遅れが出て、忙しくなってしまうのです。
自分で自分の首を絞めているようなもんですね。
埼玉県の和紙の里から、地元に筆職人がいない為声をかけていただいているのですが、1週間も時間を空けるわけにいかないので、土日で、時間を絞っていただくようにお願いしました。

あと、年に1回感謝記念セールを店の向かいの倉庫で行っています。
日本全国からお客様が見えられますよ。
うちの筆じゃないと駄目だというお客様が結構いらっしゃいます。

○表に赤ちゃん筆と書いていましたが、赤ちゃんの髪の毛の筆も作られるのですか?
最初は、友人の為に作ったのですが、それが口コミで広がって、作るようになりました。
今でも作りますが、非常に難しいので、かなりの時間がかかります、
だから出来上がりの約束はできないんです。
それでもよろしければ作ります。
まずは電話をしていただきたいと思います。

○息子さんも一緒に筆作りをされていますが、後を継がれるのですか?
後継者不足で、廃業される方も多いのですが、うちの場合は恵まれているんですかね。
息子も32歳になりますが、もう10年ぐらい一緒にやっています。
何とか一人立ちできるようになってほしいと思っています。

○今後の夢や目標などをお願いします。
現在は筆を取り巻く環境が余りにもひど過ぎるんですね。まがい物が多いんです。
細々とでも本当の筆を作り続けて生きたいと思っています。

息子が一人立ちしたら、生活の糧にはならないとは思うのですが、書く人にあった筆や色々な材料の筆もそうですが、色々な筆作りに挑戦してみたいと思っています。
自分の中では、あれもやりたいこれもやりたいといったことが沢山あるんです。
いつ実現できるか分かりませんが。

○いたばし区民の方へ一言お願いいたします。
板橋区伝統工芸師会のかたたちは、皆さんすばらしい技術を持っています。
区民まつりや区民ホールなどで紹介させていただいてますが、もっと板橋の伝統工芸のすばらしさを多くの方に知っていただきたいと思っております。

○ありがとうございました。

プロフィール

江戸筆師 佐久間末男さん



店名:鳳竹堂

住所:板橋区板橋 3-40-17
電話番号: 03-3964-7230
営業時間: 10:00〜21:00
定休日:不定休

地図:






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