やってみたら、あれ?楽しいな〜 ということになって、ハマってしまいました。
○ガラス工芸を始められたきっかけはどのようなことだったのですか?
僕が、ガラスを始めたのは10年ほど前の25歳の頃からで、
母から面白いからやってみたらと言われて、さわったのがきっかけです。
それまでは、自分が何をしたいのか模索している段階で、アメリカに留学していたんです。
大学も法学部なんです。ものづくりの道なんて考えても見なかったんです。ガラスとは全く関係ないですよね。(笑い)
私がアメリカから帰ってきたら、工房ができていたんですね。
この工房は、建築をやっていた母が作ったものなんです。建築の素材にガラスを入れたいということで始めたのですが、建築よりもガラスの方が楽しいということになってガラスの道に進んでしまったようです。
以前から、母には面白いからやってみたら、と言われていたんです。
身近にあるんならやってみようかなと思い、やってみたら、
あれ?楽しいな〜 ということになって、ハマってしまいました。奇妙な感覚でした。
○ガラスの魅力ってどんなところですか?
ほかの素材は定型の素材を、切ったり貼ったりして作っていくのですが、
ガラスの場合は、一回溶かしてしまうんです。形が無いんです。無形なんですね。
その無形のところから、自分で作り上げていくというところが面白いところであり、魅力です。
○まだガラスを始めて10年ですから、かなり勉強されたのではないですか?
工房の上に部屋があるんですが、そこに寝泊りして、週7日間、一日13時間働いて、仕事が終わったら2階に上がって酒を飲んで寝て、朝起きたら仕事という生活を3・4年間していました。
それも無給でがむしゃらに勉強しました。
もともと、物を作ったりするのが好きだったこともあり、
僕の性格上、だらだらと時間をかけて何かをするというのが嫌なので、とにかくがむしゃらにやりました。今考えてみるとかなり無謀なことをやっていたなと思います。
途中でやめることが出来ないところがガラスの特徴です。
○MCGLASSという名前の由来を教えて下さい
母は、大都会東京のイメージからメガロポリスシティーの頭文字MCからつけたのです。
5年前に母から引き継いだときに、メガロポリスはニュアンス的に合わないので、自分で考えて“モダンクラフトガラス研究所”という名称にしました。
○生まれはどちらなんですか?
大山のハッピーロード商店街の川越街道から入ったところに、リサイクルショップがありますが、そこが実家です。以前は父が古本屋をやっていたんですよ。
○生粋の板橋生まれの板橋育ちですね。今はどこにお住まいですか?
工房の2階に住んでいます。
○永井さんのガラスの特徴はどんなところですか?
母のガラスがかなり独創的で、インスピレーションで作っていたんです。
それを見ていたせいか、その反対のデザインされたものデザインしたものをしっかりと作る事が基本です。ベネチアングラスの流れを汲んだレースガラスなど、全体のトータルバランスを考えたものが多いですね。
販売となると器が多いですが、作品としてはガラスのドクロをモチーフにしたものやオブジェなど色々と作ります。
途中でやめることが出来ないところがガラスの特徴です。躊躇していると固まってしまいますし、雑になってしまいますので、作り始めると一気に進めないと駄目なところです。
作る前にはイメージトレーニングをしっかりとやってから作業に入ります。8〜9割がたイメージに近いものになるんですが、100%イメージに近いものが出来たときは何にも代え難い至福のときです。
脳内麻薬ではないですが、あの陶酔感を味わうとまた味わいたくなってしまいますね。
どこまで行っても到達点が無いんですね。
○教室もやっているとお聞きしましたが・・・
3人ほどスタッフがいるんですが、最近の不況もあり販売だけの商売となると難しいところがあるんですね。
そこで、多くの方にガラスの楽しさを知っていただこうということで、土・日と水曜日の夕方にガラススクールや吹きガラス体験教室をやっています。
スクールは、初心者コースからプロ養成コースまで、熟練したスタッフがサポートして行きます。
最近は、サラリーマンを卒業された団塊の世代の方も多くいらっしゃいますよ。
自分にしか出来ない作業をしたいと思っています。
○これからの夢や目標をお聞かせ下さい
ガラス作家さんなども結構いらっしゃるんですが、吹きガラスといえば“永井”といわれるようにはなりたいと思っています。
それと、自分にしか出来ない作業をしたいと思っています。
○最後に板橋区民の方にひと言メッセージをお願いします
ガラス工房は日本全体には300程なんです。
板橋区にはここだけですし、近くには浮間公園もあります。見学は自由ですので、天気のいい日などはちょっと立ち寄って、ガラスの楽しさや魅力を知っていただければうれしいですね。
日常の中の非日常の世界がそこにはあります。
ガラススクールや吹きガラス体験なども行っています。
○ありがとうございました |