--- 寄席演芸って、あまり聞きなれない言葉ですよね?
寄席演芸と言うと、知らない方は、植木屋さん?ですとか。笑
そのように受け取る方がまだいらっしゃいますね。笑
もっともっと表に出て、私達の存在を認知していただきたいな。と思います。
寄席という言葉自体、あまり聞く機会がありませんよね。
でも浅草あたりに行くと、寄席という言葉はまだ生きています。
--- いつごろから活動されているのですか?
発足は平成6年です。会員は4月1日の時点で40人います。
男性が10人、女性が30人です。
上は90歳から一番下は22歳までいるんです。
90歳の会員は、95歳までは頑張るからね。とはりきっております。
--- 具体的な活動内容と言いますと?
植木じゃなくって。笑
寄席演芸による、福祉施設での慰問活動です。
民謡・詩吟・歌謡曲・童謡などの色々な歌。
踊りは、ハワイアン・民謡踊り・かっぽれ・歌謡曲に合わせて踊る新舞踊。
落語。手品。大道芸はバナナの叩き売りなどです。がまの油売りもあります。
お人形を使った腹話術。ハーモニカと三味線の演奏。
これらがメインとなり、老人ホームなどに行っています。
--- 活動形態といいますか、それはどのような形なのでしょう?
3つのパターンがあるんです。
1つ目は、一過性的な公演です。
時間に合わせたプログラムを作って、上演します。
スケジュールのとれる会員に行ってもらいますが、 プログラムは楽しい内容にするために、なるべくバラエティーに富んだものに・・・と工夫しております。
2つ目は、継続的な公演です。
これには2通りあるのですが、定期的に決まった日時に行くというものと、 講師が、歌謡曲、民謡、習字などを施設内で教室を開くものです。
3つ目は、地域交流ですね。
各地域の商店街、老人会、学校などから頼まれまして行くものです。
宣伝のためにも、喜んで行っています。
大体この3つに分けられるんじゃないでしょうか。
--- 「望」さんのキャッチフレーズは素敵ですね。
(「何時どこへでも出前いたします」)
これは、私が「望」というグループを立ち上げた源でもあるんです。
ボランティアというのは、時と場所を選んでいてはしょうがないという思いがあったんです。
そのキャッチフレーズというのが、「何時どこへでも出前いたします」というものです。
これは一つの信念として、私にこびりついています。
--- 年にどのくらい活動されているんですか?
一昨年は189ヵ所です。
昨年は217ヵ所。
そして今年はこれまでの3か月で48ヵ所に行っております。
微々たる力ですけれど、自分たちの力を生かした活動をしております。
--- 1年間に2百数十回の公演ですと、かなりお忙しいですよね?
はい、てんてこまいです。
何年も前でしたらとてもできない事でしたでしょうが・・・
今では仲間が大勢おりますし、
1日に2ヶ所の公演はそんなにめずらしい事ではなくなりました。
--- それほどの公演をこなして行くというのはやはり大変なのでしょうね。
月曜日の組・火曜日の組・水曜日の組と、色々に分担して、確実にやっていくんですね。
1日に1ヵ所。という事でしたら、それほど数はこなせません。
今、依頼して下さる施設がとても増えていて、嬉しい限りです。
--- 「望」さんの名前の由来というのは?
「望」というものは、文字通り、会の旗じるしです。
会規約の後に、遵守事項という項がありまして、「寄席演芸 望」は同じ目的を持つ者同士の集合体であり、そのことの意義は大きい。とうたっております。
今までの自分の蓄積した社会を、自分の目で踏まえて、前を向いていこう。
という願いを込めて、「望」とつけました。
--- 北村さんご自身も、お唄をやられているんですね。
そうですね。それよりも、みんなの引率・会場運営・進行。
そういう事にどうしても時間を取られて、あまり自分の出番はありません。
上手い人は沢山いますので、私がしゃしゃりでる事もないのかな。
と、思っています。
たまには歌う事もありますが。
今のところは黒子に徹してやっています。
--- 何か忘れられないエピソードなどがありましたら。
板橋のある福祉園で、私1人で舞台をした事がありました。
まだかけ出しの頃です。
自分のすぐ目の前で、障害を持たれた方1人と、付き添いの方が5人。
合わせて6人の前で歌った事がありました。
そこで、感動する事が起きたんです。
私が、歌いましたら、
その方が、女の方でしたが、一緒について歌って下さるんです。
その歌の曲目は、「あざみのうた」。
「やまにはやまの〜」という、伊藤久男さんのなつかしい歌で。
一番だけなのですが。
それには、感動しました。
ところが私よりも、付き添いの方達が涙を流して感動して下さるんですよ。
というのは、その方は、施設に入所して半年だったようなのですが、名前を言っても、返事をされた事がなかったようなのです。
それなのに私といっしょに、ついて歌ってくれたんです。
介添えの方が涙ながらに私に語って下さいました。
「本当に嬉しい。こんなに嬉しい事はない。」と。
そのような、感動的な事がありました。
--- 歌い手冥利に尽きますね。
ああ、よかった!やった!と、思いましたものね。
もう普通でしたら、なんだ1人か。という気持ちになりますけれども、やはり初心を忘れてはいけないものですね。
逆に鼓舞激励され、本当に感動しました。
こういう嬉しい事はいっぱいあります。
--- 板橋区民の皆さんに一言お願いします。
いつも言う事ですけれど、とにかく声をかけていただきたいと思います。
私達の存在感もそこに表れるし、何よりも、孤独な老人達に喜んでいただけます。
そうする事により、私達の展望も開けますしね。
地域にふんばって根付いた活動をしていきたいと思っています。
なるべく近場で地域密着で活動していきたいですね。
今のところは満足していますが、これからどうするかという事が山のようにあります。
とりあえず、今やっている形を充実して行き、広げて行こうと考えています。
--- ありがとうございました!!
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