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板橋な店
菓子工房ガトーマスダ
新高島平駅前の一際目を引く洋菓子屋さん。独自製法のフルーツのお菓子は絶品です。
45年以上フルーツの漬け込みの技術を追求している、
オーナーの増田嘉嗣さんがオープンした洋菓子屋さんです。
その、上品で繊細なフルーツ菓子は、多くの人を惹きつけてやみません。
オーナーの方から、情熱に溢れたお話を伺いました。

オーナーの増田嘉嗣さん




ものづくりがしたかったんです。オンリーワン。自分にしか出来ないものをと。


---増田さんは、長い間お菓子の加工職人をされていたという事ですが、お菓子の世界に入られたきっかけというのはどういった事だったのでしょう?
僕の出身である九州の佐賀から、大学に行くつもりで、上京をしました。
しかし、お金がないもので働かざるをえなかったんですね。
勉強するために出てきたにもかかわらず、お菓子屋さんに材料を卸す商店に、僕は勤め始めたんです。
そこで、僕は営業をやっていました。
商品知識など何もないですよ。それこそ、必死になって倉庫に行ったものでした。
何の商品知識もなかったのですが、商売が出来ない事もないな、という感じはしていました。
父親が鉄工所をやっていまして、小学校の高学年の頃から、支払いだとかをやらされていたんですよ。
そういったところで商売のセンスは、多少みがかれたと言えるかもしれません。

営業をしている中で、お菓子屋さんをまわるわけですが、その中で、何かこの辺に、僕が独立してやれるものはないかなあと、考えていました。
ものづくりがしたかったんです。オンリーワン。自分にしか出来ないものをと。

---それは、なんだったのですか?
それが、フルーツケーキの、フルーツの漬け込みだったら、出来るなと思ったんです。まだ完成されていない産業だったんですよ。
なぜ大企業がそれをしなかったかというと、こつこつやらなければいけない分野だったからです。
うちの商品は、三年間漬け込んでいるものもあるんですね。
そういう仕事は大企業向きではないんです。
三年かからないと、その製品の結果がわからないんですから。

---そうですよねえ。
こういった研究をしていくのには、僕の年齢は有利だと思ったんです。
年齢が低いという事が。
あの頃は、55歳が定年でした。
なので、日本一になるまでに、30年間、時間があるじゃないかと思ったんです。
30年かけて日本一になるんだと。
でも、もう、45年間やっています。今でも研究しているんです。

ハードルがあったから、必死になったんです。


---その研究生活の中で、色々な事があったんでしょうね。

辛い事はたくさんありました。
しかし、辛い事が悪い事じゃないんですよ。
辛い事があるから、ハッスルするんですよ。
辛い事が無かったら、今の商品は出来てないかもしれません。
どういう事が辛いかというのは、なかなか認めてもらえないんですよ。
人生のドラマの中には、辛い事があり、かわいそうだなあ、と思うかも知れません。
しかし、あまり同情する事はないんですよ。
その人が辛い事に、耐え切れたか、耐え切れなかったか。という事が大事なんです。
僕は、耐え切ったんです。
乗り越えられる可能性のある人に、苦労を与えなかったから、
その人のチャンスを奪い取ったに等しいんです。
僕は、世の中から、色々なチャンスをもらったんです。
それから逃げていたら、今の事はやっていなかったかもしれません。
そう考えると、どちらがいいかって、わからないでしょう?

---増田さんにとっては、ある意味、恵まれた人生だったのですね。
うん、それは、もう、僕には恵まれた人生だったよ。
世間的に言うと、苦労かもわからないけれど、与えてくれた。
天が与えたのか、僕の持っている運命が与えたのかね、それは神様にしかわからないけど、与えてもらったんです。

---そういうハードルがないと、人って、成長しないのかもしれませんね。
ハードルがあったから、必死になったんです。
何を運命づけられたかというとね、プロの方、職人さんを相手に商売をしたんですね。
職人さん相手に、職人さんの分野の商品を作って、商売を始めたんです。
これは、ふつうだったら、ばちがあたるわけです。
向こうにはプライドがありますし、分野を侵されるという事があるからね。
これは今でもそうです。

負かす事が目的ではないんです。商売をやらさせてもらうための条件として、職人さんに認めてもらうぐらいのものをつくらないと、僕は商売にならないんです。
それを宿命づけられたんですね。この道を選んだ時に。
精神的にものすごく痛めつけられますよ。
しかし、それはものすごくラッキーでしたよ。僕にとっては。

---その発想がすごい。
そして、自分の商品であるフルーツの加工品を認めてもらうために、僕はその原料で作ったフルーツケーキをサンプルとして持っていくんですね。
それが、加工とケーキ作り、両方の技術の底上げになったんです。

---実際に、志さされて、実を結び始めるのに、どのくらいかかったのですか?
そうだねえ。15年間ぐらいは、ほとんど見向きもされませんでした。
しかし、それを絶対乗り越えてみせるぞ。とは思っていました。

お洒落なものをつくりたい。これはもう、絶対条件でした。


---ガトーマスダさんをオープンされて、どれくらい経つのでしょう?

オープンして、まだ4年です。
本当は、この「ガトーマスダ」という小売店は、もっと早く作りたかったんです。
チャンスとタイミングとお金、様々な問題で、実現出来なかったんですね。
僕の本当の夢は、
消費者の方に、僕の味というか技術というか、そういうものを、純粋に伝わるようにしたいという願いがあったんです。
それが、ものづくり、あじづくりの一番の基本なんですよ。
技術があって、いい素材があっても、良いお菓子として消費者の方に届かなかったら、
これほどもったいない話しはありませんよね。
やっぱり、自分の店で、自分の思い入れのある工場で作って、消費者の方に届けなければ、自分の30年は何だったんだと。
くやしくなってしまいますよ。

---そうですよね。新高島平にお店を構えられたきっかけというのは?
大した理由はないんです。昔、上尾に住んでいまして、近かったんですよね。
ここは、人手もあるし、倉庫もあるし、運送もあるし。
そろっているんですよね。
今度、東上線沿線に、何店舗か出す計画があります。
その先には、もっと都心に出したいなあと思います。

---しかし、とてもきれいなお店ですよね。
どのようなものをイメージされて造られたのですか?

大雑把に言って、地中海風といいますか。南フランスですね。
じゃあ、イギリス風でだめか、ドイツ風でだめかというと、
そういう事もないんですけれどね。(笑
ケーキ屋さんは、フランス菓子とか、ドイツ菓子とか、議論するのですが、そこは、僕にとっては重要なことではないんです。

お洒落なものをつくりたい。これはもう、絶対条件でした。
文化的なものにしたかった。文化とは何なのかと言うと、ある意味ではぜいたくですよね。
そういう環境の中で、僕はお菓子を提供したいと思っているんです。
ここにおいでいただいて、歓談されるのも、文化です。
楽しく、お茶を飲みながら、そしてケーキを食べて美味しい。
そういうものでなくてはいけない。
だから、ケーキと一緒に提供するコーヒーなどのお飲み物にも、原料からかなりこだわっています。

これほど美味いものはないな。というぐらいのものをつくる事を、我々は義務付けられている。


---増田さんとしては、ここまでこだわられたお菓子やお飲み物、そして環境。
それを、どのように楽しんでもらいたいと思っておられますか?

やっぱり、精神的に豊かになっていただかないと、何の意味もないですね。
今、食事は、1人何カロリー摂取しているか。になっていますよね。
今は、栄養としてはとても過剰なんです。
お菓子を食べなくてはいけないという理由は全くないんです。
そうすると、お菓子は何の役割を果たすかというと、やはり文化ですよ。
ぜいたくですよ。喜びですよ。
それは、食べるよろこび。こちらは、お茶のひと時を提供する喜びです。
そういう、喜びを与えるための、おいしいお菓子であり、
そのお供である、お茶も、美味しくなくては意味がないんです。
そして、その舞台。
幸せになる舞台ですよ。舞台をつくらなくてはいけない。

人に感動を与えると言ったらいいのかな?
美味しいものに対して、感動してくださる人。そういう方たちのために、より美味しいものをつくろうという考えなんです。
これほど美味いものはないな。というぐらいのものを作る事を、我々は義務付けられている。そういう思いを持っています。

チーズケーキを例にとりますと、さらっと溶けるけれど、コクがある。
というものを目指しています。
うまみがあって、イメージとして残っていくものですね。
「うまみ」という言葉を僕は大事にしているんです。
口どけがよい、何がよいと、色々と表現はありますが、最後には、うまみがなければしょうがないと思うんですね。
いかにうまいものをつくるか。ということですよね。

---なるほど。
こうも考えているんです。
「板橋にこんな素敵な店があったの?」と、なんとなくささやいてくださるような。
普通じゃだめなんです。

---今後の夢や目標などがありましたらお願いします。
半分は、消費者に喜んでもらいたい。半分は、職人として商人としてもっと戦ってみたいというものがあります。今後もより高いところを目指していきます。

---恒例なのですが、いたばしの方に何か一言をお願いします。
私も板橋で育てられた商人ですから、まず板橋の方に、ひとりでも多く、私のお菓子を食べていただき、私の喜びをみなさんで分かち合えたらと思うんですよ。
なぜ高島平に?と、聞かれたら、まずその事を思うんです。
まず、板橋区です。
東上線沿線、三田線沿線にもお店をつくり、親しんでもらいたい。
なによりも、まず、板橋区民の方にですね!

---ありがとうございました!



菓子工房ガトーマスダ

【住所】
〒175-0082
板橋区高島平7-14-21

【TEL】
03-3939-2992

【FAX】
03-3939-3444

【交通】
都営三田線 新高島平駅
徒歩1分

【営業】
AM10:00〜PM8:00
年中無休

【地図】






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