○板橋区に銭湯はどれぐらいあるのですか?
名簿上には50件あるのですが、今年6件ほど休業していますので、現在44件程です。
○原油の高騰が原因ですか?
そうですね、今年休業した銭湯はほとんど、燃料に重油を使っていました。
それ以外の銭湯は、薪でお湯を沸かしているんですよ。
○薪ですか?
そうです。冬場は暖かくていいのですが、夏場は汗だくで沸かしています。
かなりの重労働ですよ。
○最盛期には何件ぐらいあったのですか?
一番多い時期で、昭和40年代ですが120件以上ありました。
今の3倍程です。
各家庭に内風呂が普及し始めてから、次第に減ってきて現在に至っています。
○ライフスタイルの変化ですか?
そうですね、利用者数が激減していますね。
銭湯の冬の時代です。
○銭湯に来られるお客様はどのような方が多いですか?
全般的に高齢者が多いですね。
区から無料の入浴券が配られているので、それを持って入りに来られます。
男性2に対して女性1の割合です。
若い方も来られますが絶対数が少ないですね。
男性の方は若い方も多いのですが、女性の方は少ないです。
お年寄りは速い時間帯に入りに来られます。
男湯はそうでもないのですが女湯は貸切状態の時間帯が多いですよ(笑い)
家族連れの方は圧倒的に少ないですね。
○1人450円という料金が高いのですかね?
家族4人(大人二人、子ども二人)だとすると1回で1300円ぐらいになるので、高く感じるんでしょうね。
スーパー銭湯などは流行っているのですが、食事したりエステやマッサージなども揃っていますし、それらの施設を利用したりすると1万円ぐらいかかってしまうんですがね。
一つのレジャーと考えているようです。
広い駐車場も完備されているので、商圏が広いんです。広い地域からお客さんが来るんですね。銭湯はそういうわけにいきません。
値段ももう少し安くなればいいのでしょうが、物価統制令で勝手に決められないんです。
現在、物価統制令が適用されているのは公衆浴場(銭湯)の入浴料金だけになっています。
○勝手に料金を決められないんですね。
お客さんが多い時代にも料金を上げれなかったので、なかなか蓄えが出来なかったんですね。
だから、新しい設備投資なども出来ないし、お客さんが減ってきたら収入が減るだけという尻つぼみな状況が現状です。
東京では5%の人がお風呂が無いんです。
板橋区で言うと2万人ぐらいの方がお風呂の無い計算になります。
そういう人のためにも銭湯は必要なんですが、廃業する銭湯が増えてきて、前野町・蓮沼・小豆沢・大谷口地域には銭湯がなくなってしまいました。
高島平地区は新しい町ですから一軒も有りません。
○経営が成り立たないのですね。
そうなんです。
後継者不足と言われていますが、儲かっていれば後継者も育つんです。
休みは無いし、有給も退職金も無いし、嫁の来ても無いんです。
経営が成り立たないので当然のことなんです。
70代〜80代の方が多いので、あと10年もするとさらに半分はなくなると思います。
○それでも営業を続けているのはどうしてですか?
銭湯が好きなんですね。
色々な方に話を聞くのですが、義務感やボランティア精神でやっている方が多いですよ。
儲からないのに赤字覚悟でやっているんです。
傍目から見ると馬鹿みたいに思えますが、それが現状です。
○銭湯はコミュニケーションの場となっていましたが、いまはどうですか?
一人暮らしのお年寄りや、老人世帯、同居されていても銭湯に通われる方も多いです。
狭い風呂よりも広い風呂のほうがいいみたいですし、風呂を沸かしたり、掃除する手間を考えたら銭湯のほうがいいようですよ。
話し相手も多いですしね。
暖まって、ゆったりとした気分になれば話も弾みますね。
○季節季節で、菖蒲湯やりんご湯、ゆず湯などを行っていますが、そのほかにどのような事をやっていますか?
65歳以上のお年寄りを対象に月一回、介護予防体操を行っています。
参加された方は入浴が無料になります。
今年5月からは、「銭湯で健康増進!」板橋支部では「銭湯で健康増進」と銘打って、「メタボリックシンドローム対策は銭湯で」を合い言葉に、血圧計や身長計等を区内全ての浴場に設置して、ウォーキングやジョギングの支援事業行を行っています。
登録浴場で入浴料を支払い、着替えて荷物を預けて、健康管理カードに体重、身長、血圧、BMI等の数値を記入してから、30分以上のウォーキング又は20分以上のジョギングをしてもらおうという試みです。
各銭湯ごとのジョギングコースマップの冊子も作成しましたので、興味のある方は最寄の銭湯におこし下さい。
○銭湯のいいところってどんなところですか?
広いので開放感がありますよね。
狭い内風呂よりも、ゆったりとした気分でのんびりと出来ます。
家族の方は、一緒に入る事が出来るのでコミュニケーションの場にもなっています。
それに体が暖まりますよね。
お年寄りの方は、夏場は来ないのに、寒くなってくると内風呂だと暖まらないと言って
入りに来られる方が増えますね。
○これからの取り組みや目標などありましたらお聞かせ下さい。
「銭湯でエコ」というのを考えています。
地球温暖化防止のために、「月に1度は銭湯に!」をキャッチフレーズにと考えています。
家庭の風呂で家族が入るために使う燃料よりも、銭湯で使う燃料のほうが少ないんです。
そういう意味で、排出ガスが減るのでエコになるんです
。
○最後に区民の方に一言お願いします。
のんびりと広い湯船に浸かって、リラックス。たまには銭湯に来て見ませんか。
○ありがとうございました。
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